フィリピンの小さな島の島民が紡ぎ出す愛に溢れた「カオハガン・キルト」

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こんにちは!カオハガン島のyoshie(@yoshie_radhika)です。

 

前回は、私が住む島民700人のカオハガン島にある奇跡の木「ニーム」をご紹介しました。

 

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「カオハガン島」ってどんな島?

 

このカオハガン島では、島民が「カオハガン・キルト」と呼ばれるキルトを作っているのをご存知でしょうか?

 

この記事では、「カオハガン・キルト」の歴史とその魅力を知っていただければ嬉しいです。

 

「カオハガン・キルト」って何?

 

カオハガン島を購入した法人の社長であった崎山克彦と、その妻である吉川(崎山)順子がキルトというものを伝え始めたのがきっかけで、「カオハガン・キルト」というものができあがりました。

 

「カオハガン・キルト」が作り始められたのは1995年。

 

定規や鉛筆を使ってきちんと製図するという基本的なキルトのルールに縛られずに、自由に生地をカットし、縫い代を考えずに縫い合わせていきました。

 

自然豊かな島で育ち、自然の中の美しい色合わせや構図が身についている彼らにとって、それはまるで当然のようなテクニック。

 

鮮烈な色合わせと彼女たちの賑やかな笑い声が聞こえてきそうな生き生きとしたキルト、まさにキルトの原点と思える作品をつくっていきました。

 

キルトづくりがお母さんたちの趣味に

 

実は、最初にキルトをつくり始めたのは、8歳から10歳の女の子たちでした。

 

当時の大人の女性は、キルトづくりに誘っても、麻雀をしたり、おしゃべりをしたり、誰も始めようとしませんでした。

 

そんな中、クララという一人の女性が興味を持ち、キルトをつくり始めました。

 

そのキルトを吉川順子が買い上げたことをきっかけに、「キルトをつくると収入になる」ということを知り、他の女性たちも、麻雀をやめ、キルトづくりを始めました。

 

今では、子育てや家事の合間にキルトをするお母さんの姿がカオハガン島にはあります。

 

それは、必ず誰かがそばにいて、寄り添い合っている大家族のお母さんが、日常から少し離れて、自分だけの時間を楽しんでいるようにも見えます。

 

子育てを支えるキルトづくり

 

お母さんたちのキルトづくりのおかげで、家庭には少しの現金が収入として入るようになりました。

 

それは、子どもたちの教育費として使われていることがほとんどです。

 

フィリピンでは、小学生活を6 年間過ごした後は、高校生活を6年間過ごします。カオハガン島には小学校はありますが、高校は隣の島に通いに行かなければなりません。

 

育ち盛りである彼らがカオハガン島以外で食事をするということは、海の幸を採りに行くわけにもいかず、食費がかかります。また、学校での教材費なども必要です。

 

そんな子どもたちのための出費を、お母さんやお姉さんがチクチクとキルトをつくることで補っています。

 

キルトを買い取る仕組み

 

カオハガン島で崎山克彦が始めた宿泊施設であるカオハガンハウスは、キルター(キルトの作り手)がつくりあげた「カオハガン・キルト」を買い取っています。

 

つまり、キルターたちはキルトをつくればつくるほど、収入を得ることができます。

 

買い取ったキルトはカオハガンハウスで販売したり、日本へ送って、カオハガン島オフィシャルサイトやキルト展で販売しています。

 

販売して得た資金は、次のキルト製作のための材料費やキルターたちへの工賃として使われています。

 

こうしてお金を循環させることで、新たな仕事を生み出し、島民たちの生活をサポートしています。

 

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愛に溢れた「カオハガン・キルト」

 

カオハガン島の島民は自然の中で育ったこともあり、豊かな感性を生かして自分たちが見た美しいものをキルトに表現していきます。

 

それは、まるで自然の中に包まれたようにあたたかく、愛に溢れたデザイン。

 

デザインは自分で決め、一つの作品を一人でつくりあげていきます。

 

島のキルターたちは、自然に感謝するということをあたり前のように行いながら生きてきた人。

 

そんな彼女たちの溢れる想いがたくさん詰まった世界でひとつだけの作品となるのです。


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