マガンダン・ハーポン!マニラブのゆかりです。
「作り手VOICE」とは、国籍問わず、フィリピンの魅力を形づくる「人」にフォーカスする連載です^^
今回の「作り手」は、Dan Gilさん。
フィリピン産のコーヒー豆にこだわった、とっても居心地のよいカフェのオーナーさんです。
マニラのカフェ「Café Libertad」
マカティで日本人が毎晩集う「リトル東京」の裏手にある「クリークサイド」という建物がある。
そこにぽつりとあるお洒落なカフェこそが今回ご紹介する「Café Libertad」。
Café Libertad(カフェ・リベルタッド)
住所:G-IV, GF, The Gallery Building, Amorsolo St., Makati, Metro Manila
営業時間:9:00〜16:00(新型コロナウイルスの影響により、左記のとおり営業時間短縮中)
公式Instagram:@cafelibertad
インパクトのあるロゴ。お洒落なコンクリートブロックの上に置かれた木製テーブル。無造作に置かれたレコード。
ひとつひとつのインテリアが支えあって、このカフェの雰囲気を作りあげている。
ここでは、フィリピンの山岳地帯ベンゲットで収穫した豆を使用したコーヒーが自慢。
また、フィリピンのクラフトビールも楽しめる上に、最近話題の「ビーガン」(完全菜食主義)のメニューも提供を始めた。
心地よいゆったりとした時間が流れるこのカフェは、本当は教えたくない隠れスポットだ。
Dan Gilさん
オーナーのDanさんは、マカティから車で約1時間の場所に位置する“アートの街”アンゴノ出身。
ミュージシャン、画家などアーティストとして活躍する親戚に恵まれて大きくなり、大学で音楽を専攻した。
キーボードだけでなく、ギターもサックスも弾くことができるプロのミュージシャンだ。
アーティストにもいろいろなタイプの人がいるとは思うが、Danさんは一言で表すと「自然体」。
このカフェでは、毎週木曜日にジャズナイトを開いている。
今日は誰が演奏するの?と聞くと、「その日に誰が演奏するかなんて、始まるまで僕もわからないんだよ(笑)」
その日に弾きたいなと思う人が集まって、ジャムセッションをする方式らしい。
スペイン語で「自由」という意味の”Libertad”という言葉が表すとおり、本当に自由でリラックスした空間だ。
彼の生まれ育ったアンゴノには、当時「カフェ」と呼べる場所などなく、「コーヒー」と言えば小袋に入った粉末コーヒーを指した。
そんな彼は、なぜコーヒーの虜になり、カフェを開こうと思ったのだろうか?
フィリピンの魅力を形づくる「フィリピン産コーヒー豆」
彼がマニラへ上京すると、スターバックスといった有名なコーヒーチェーン店を目にし、焙煎したコーヒー豆で淹れるコーヒーに出会い、どんどんコーヒーにはまっていった。
その当時、南米でのコーヒー豆の収穫量が激減したため、フィリピンなどアジアのコーヒー豆に注目が集まっていたという。
そんな中、あるきっかけで目にした写真が彼を驚かせた。
それは1909年に撮影されたモノクロ写真で、スターバックスの生みの街・シアトルで、“BATANGO COFFEE”という名のフィリピン産のコーヒー豆が売られている様子を写したものだった。
(非常に興味深い写真なので、ぜひ「Seattle Batango Coffee」と検索してみてほしい。)
あのコーヒーの聖地シアトルで、フィリピンのコーヒー豆が流通していたのかと思うと、自国を愛するプライドに一層の火がついた。
Danさんのカフェでは、フィリピン大学の教授が栽培方法を農家に教えているという山岳地帯ベンゲット産のコーヒーを使う。
「もちろんブラジルなどの豆のほうが、安く手に入って、高く売れる。
フィリピン産の豆は、クオリティが追いついていないのも認める。
それでも、フィリピンの豆にプライドを持ちたい。
きっと、フィリピンの豆は世界で戦える。」
その正直な言葉に、心を打たれた。
○ フィリピンの有名コーヒーチェーン3選
○ 人気の観光地マカティ中心街でカフェ巡り
○ フィリピン限定のカフェオリジナルグッズ
フィリピン×Dan Gil
ミュージシャンでコーヒー好きともなればさぞかしシティボーイなのかと思ったが、フィリピンの魅力は絶対にビーチだというDanさん。
逆にマニラという都市については、アートもカフェもたくさんあって街自体は大好きだが、都会の人は横柄だと顔をしかめていた。
日本人はフィリピン人の優しさのおかげでフィリピンを好きになることが多いが、当のフィリピン人は「東京の人は冷たいよ」というのと同じ感覚を持っているようだ。
田舎に行けば、マニラに住む人よりも優しい人々が待っているということらしい。
そんなDanさんの夢は、ボラカイのきれいな海の近くにカフェを構えること。余生はそこで過ごしたいという。
波の音に乗ったDanさんの音楽はもっと自由でもっと魅力的なのだろうなと想像し、早くも今からワクワクしてきた。