《作り手VOICE》水井裕さん(ココウェル代表取締役/ココナティスト)

新型コロナウイルスの発生と感染拡大に伴い、現在フィリピンは入国制限がかかっています。また、各施設の営業状況が変わっている可能性があります。ご利用の際は公式HP等にてご確認ください。大変な時期が続きますが、少しでも旅行の楽しさを味わっていただけるよう、引き続き情報をお届けいたします。

マガンダン・ハーポン!マニラブのゆかりです。

 

「作り手VOICE」とは、国籍問わず、フィリピンの魅力を形づくる「人」にフォーカスする連載です^^

 

今回の「作り手」は、水井 裕さん。

 

ゆかり

大阪に日本初のココナッツ専門店があるのをご存知でしたか?^^

フィリピン産ココナッツ製品専門店「ココウェル」

フィリピンには、ココナッツ専門の政府機関「ココナッツ庁」がある。

 

農業省の下に置かれ、フィリピン産ココナッツを競争力のある産業に育てる珍しい機関だ。

 

フィリピンは世界2位の生産量を誇るココナッツ大国。寿命は約80年で、年間100個もの実をつけるため生産性も高い。

 

2013年のデータによれば、バナナよりもココナッツオイルのほうが輸出額が高く、フィリピン農業を支える大黒柱だ。

 

そんなフィリピン産のココナッツ製品だけを扱う専門店「ココウェル」が日本にある。

 

さすがは日本で唯一のココナッツ専門店。商品は多岐にわたる。

 

このココウェルは、ココナッツを通じてフィリピンの貧困問題の解決を目指している。

 

ココウェルカフェ
住所:大阪府大阪市西区北堀江 1-13−21
営業時間:平日 11:30〜17:00、土日祝11:30〜19:00
定休日:水

 

水井 裕さん

ベンゲット州というフィリピンの中でもツウな場所に留学経験のある水井さん。

 

国際系の大学で受けた授業「模擬COP(気候変動の国際会議)」で、フィリピン大統領の役を任せられたという。

 

そのときに、途上国の視点から地球の環境問題を考えることができ、またボーイスカウト時代に身につけた自然への興味と相まって、大学卒業後は環境分野の専門学校へのさらなる進学を決意した。

 

日本でいういわゆる「就活」は考えなかった。

 

偶然にもフィリピンに縁のある専門学校の英語の先生のサポートもあり、環境科学が学べるベンゲット州立大学へ留学するチャンスを得た。

 

その留学中、環境の問題はゴミの問題に起因することが多いと気づいた水井さんは、ゴミ山をなくす方法を考えるようになった。

 

しかし、そこでさらに気づいたのは、ゴミ山をなくすと仕事を失ってしまう「スカベンジャー」と呼ばれるフィリピン人がたくさんいるということ。

 

「彼らが地方からわざわざマニラに出てきてゴミ山で仕事をしなくとも、地元でフィリピンの地の利を生かしたココナッツに関わる仕事についてもらえれば、貧困問題と環境問題の両方にアプローチできるんじゃないかと考えたんですよね。」

 

フィリピンの魅力を形づくる「ランバノグ」

「捨てるところがない」と言われるココナッツの木。

 

考えてみればそのとおりだ。

 

果肉やココナッツウォーター、ココナッツミルク、ナタデココ、食用・美容オイル、ココナッツシュガー、タワシやフロアマット、食器。

 

そして「ランバノグ」、フィリピンの伝統的なお酒だ。

 

ココナッツの花蜜を蒸留させたもので、カッとくる熱さと優しい甘みのギャップや、添加物・糖質ゼロのヘルシーさが魅力。アルコール度数は40度と高いが、割っても美味しい。

 

フィリピンでは、安く作るために有毒なメタノールを混ぜて作る悪質な業者もおり、お祭りシーズンになると不法なランバノグを飲んだフィリピン人が亡くなるというニュースを耳にする。

 

ゆえにフィリピンでランバノグ離れが進んでいるのを水井さんは嘆く。

 

ココウェルのランバノグは、他の商品と同様、品質の高さがウリ。

 

高い品質基準を求めるのは決して簡単なことではない。フィリピンの業者が製造を投げ出してしまうかもしれないからだ。

 

それでも水井さんは、ココナッツの無限の可能性を信じて奔走する

 

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2020年1月24日、「日本でランバノグの魅力を広め、ココナッツ農家の生活とフィリピンの伝統を守りたい」と、東京のフィリピン大使館貿易投資部(@dti.tokyo)において「ランバノグナイト」なるイベントを催した。

 

イベントアプリ「Peatix」で広報されたため、フィリピンに縁がある人よりもお酒に興味がある人がたくさん集まった。

 

初めてランバノグを口にするお酒好きの参加者からも美味しいと太鼓判を押され、大きな手ごたえを感じたという。

 

フィリピン×水井 裕

「フィリピンとの出会いは運命だった」という水井さん。

 

ベンゲットへの留学が初海外だったため、他国と比較することなく自然と馴染めた。

 

帰国のとき、毎週行っていた教会で、友人たちが自分のために長々と祈ってくれた場面が一番の思い出だと語る。

 

キリスト教の教えに「隣人を愛せよ」という言葉があるとおり、実に温かい心を持っているフィリピン人こそがフィリピンの魅力だ。

 

そんな水井さんの夢は、ココナッツのテーマパークを作ること。なんて素敵な夢だろう。


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